就活生のための会計知識その1: 損益計算書を読む

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今年も就活が解禁されました。
 
就活生のみなさんは、「こんな仕事がしたい!」や「こんな会社で働きたい!」など、様々な想いを胸に会社選びに邁進していると思います。
 
ところで就活生のみなさんは志望企業の財務諸表に目を通してみたことはあるでしょうか?
ぜひ一度、志望企業の簡単な財務分析をしてみることをオススメします。
というか自分が「もっとよく見とけば良かった…」と、激しく後悔したので、この記事を書いています。
 
上場企業は中間と期末の年二回、財務諸表を公開しています。
会社のHPにアクセスすれば簡単に入手できるでしょう。
 
会社の内情について財務状況から読み取れる情報は非常に多いです。
 
採用HPや、人事担当者が語る都合の良い情報を参考にするよりも、役に立つかもしれません。
 
 
主な財務諸表は損益計算書と貸借対照表の2つです。
今回は損益計算書の読み方について取り上げます。
 
 

損益計算書を読む

 
損益計算書は、通称「P/L(ピーエル)」と呼ばれ、企業の1年間の営業成績を示すもので、会社の収益性を表しています。
 
損益計算書はこのような構造になっています。
 

売上高  1000
売上原価  -800
売上総利益  200
販売費及び一般管理費  -150
営業利益  50
営業外損益 -5
経常利益 45
特別損益 0
税引前当期利益 45
法人税等 -18
税引後当期利益 27

 
※数字は適当です。
※マイナスは費用、太字は費用を引いて残った利益を表しています。
 
 
損益計算書を見れば、その会社が商売でどのくらいの売り上げをあげ、どのくらいの経費がかかり、どのくらいの利益を残しているのか、が分かります。
 
 
まず一番上に来るのが売上です。
売上は文字通り、その企業が物やサービスを販売して得たお金ですね。
損益計算書は1年間の売上から始まり、1年間にかかった費用を順番に引いて行き、最後にその1年間の利益が残るという仕組みになっています。
 
 
売上総利益
売上総利益はいわゆる「粗利(あらり)」と呼ばれるものですが、もの一つを売るために最低限かかる費用=売上原価を引いて残る利益です。
 
 
たとえば、あなたが古本屋で800円で買った本をネットオークションで1000円で売ったとします。
 
この場合、売上は1000円で、売上原価は仕入れにかかった800円です。
売上総利益は
 
1000-800=200円
 
となります。
売上に対してどの程度の粗利がとれているかを見ると、その企業、ひいてはその業種の「もうかりやすさ」を計り知ることができます。
例えば古本をネットで転売するためには、まずは売る本を仕入れてこなければいけませんので、1冊の売上のために、800円のコストはどうしてもかかります。
 
そして材料の価格や仕入れの相場は、会社の力だけではどうすることもできない部分が大きいため、原価率を下げる(=粗利率を上げる)ことはなかなか簡単にはいきません(大手であれば一度に大量に仕入れることで安くするなどの方法はあります)。
 
そのため粗利率は、そもそもその業種、商売が儲かりやすいのかどうかを表しています。
 
 「薄利多売」という言葉通り、粗利の低い商売はとにかく数を多く捌くしかありません。
 
一般的にメーカーやサービス業の方が粗利が高く、卸売や小売は粗利が低い傾向にありますが、ぜひ一度調べて見てください。
 
「行きたい業種が決まらない」という人は、こういった視点から各業界を見てみてるのも参考になるかもしれません。
 
 
 
営業利益
売上総利益から「販売費及び一般管理費(販管費)」を引いて残った額が営業利益です。
販管費とは、商品の運送費や、従業員の給料、倉庫の光熱費など、営業活動にかかる費用のことです。
 
古本屋で買った本をネットで売った例をとると、
古本屋まで行くのにかかったガソリン代、インターネットに接続するのにかかったプロバイダ料金、オークションの利用料金、その他あなたの生活費などが販管費にあたります。
 
つまり、営業利益とはその会社の「本業のもうけ」を表していることになります。
 
 
 
損益計算書が表すもの
さて、
企業は全ての収入の源泉である売上から原価を引き、残った粗利から販管費をまかなって尚、利益を残さなければいけません。
 
つまり、粗利が残れば残るほどその他の管理活動や販売活動、給与などのコストにまわすお金が残るということです。
 
売っても売っても少しの粗利しか残らない商売では、その他のコストをとことん切り詰める事でしか利益を残すことができません。
 
もちろん、販売活動の無駄を見直し、業務改善を行うことで利益の出る体質を作るのが企業のウデの見せ所でもあります。
 
いっぽう、販管費を削るために、誰にでも出来る簡単な方法があります。
 
それは人件費を削ることです。
 
人件費を削る方法は「人を減らす」、「給与を減らす」の2つです。
低粗利の商売でも、とことん低い賃金で人を雇えば最終的に利益を残すことが可能です。
 
 
その他の項目
なお経常利益は、営業利益に利息の支払いや有価証券(株式など)の売買損益など、本業以外の損益を足し引きしたものです。
さらに、経常利益から特別損益(臨時の特別な利益や損失)を足し引きしたものが税引前当期利益で、そこから法人税等を差し引いてのこったのが税引後当期利益となります。
 
営業外損益や特別損益は、会社の本業とは関係なかったり、臨時的なものですし、法人税もある意味不可抗力的な要素の大きいものですから、ここではより会社の実情を知る目的で、本業としての営業利益までに注目してみました。
 
 
 

おわりに

 このように、その企業がどういうカラクリ(ビジネスモデル)で利益を残しているのか、という視点で損益計算書を見てみると、その企業の内情が見えてきます。
 
ぜひ一度、志望企業の損益計算書に目を通して見てください。
 
 
 
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