前回は損益計算書の簡単な読み取り方について書きました。
さて今回は、損益計算書と並んで主要な財務諸表の一つである「貸借対照表」について説明したいと思います。
貸借対照表は通称「B/S(ビーエス)」と呼ばれ、企業の持っている資産を表すものです。
「資産」と言われ、皆さんは何を思い浮かべますか?お金でしょうか。
実は企業の持つ資産のうち、お金(=現金)はごく一部に過ぎません。
貸借対照表上の資産とは現金のほか、売上の後払い(売掛金)、商品、土地、建物、機械、株式(有価証券)、著作権などの権利、その他様々な「換金価値のあるもの」を意味します。
それでは実際に貸借対照表を見てみましょう。
貸借対照表を読む
貸借対照表はこのような構造になっています。
左側は、先程挙げた企業が持つ「資産」を表しています。
右側は、それらの資産を得るため のお金をどうやって調達したかを表しています。
言い換えると、右側で調達したお金が、左側で商品や土地・建物・有価証券など、様々な姿に変わり運用されている、と考えてください。
また右側は「負債」と「資本」に分かれています。
負債は、文字通り借金を表しており、銀行などからの借入金の他、仕入れの後払い(買掛金)や、従業員の退職金など、「いつか返済や支払いをしなくてはいけないもの」を表しています。
いっぽう資本は、株を発行して得たお金と、毎年の事業で得た利益の積み重ねからなっています。
つまり、自前でまかなったお金で、返済義務はありません。
そして貸借対照表で重要なポイントは、左右の数字は必ず一致(バランス)するという点です。
これを言い換えると、
「資産」 =「負債」+「資本」
という等式が常に成立すると言うことです。
とても不思議なことですが、これが複式簿記の仕組みなのです。
その会社、どのくらいの借金があるの?
さて、貸借対照表の大まかな仕組みが分かったところで、貸借対照表から読み取れる情報について書いていきます。
まずは「自己資本比率」についてです。
自己資本比率は、資産全体のうち、自己資本がどれくらいの比率を占めているか、を表しており、
自己資本比率=資本 ÷ 資産
で求めることができます。
もしあなたが志望する会社の自己資本比率が高ければ、市況の変化で売上が減ってきて利益をあげられなくなったとしても、返済すべき債務が少ないため、より倒産しにくいということができます。
なお自己資本比率は50%以上が理想、40%以上あれば倒産しにくい会社だと言われています。
その会社、支払い能力は大丈夫?
もう一つ重要な指標が、「流動比率」です。
資産と負債をさらに細かく見ていくと、それぞれ「流動資産」「固定資産」、「流動負債」「固定負債」に分かれています。
「流動」とは、「1年以内に換金できる・返済しなければならない」ことを意味します。いっぽう「固定」は、「換金・返済するまでに1年以上かかる」という意味です。
流動比率は下記の数式で求められます。
流動比率=流動資産÷流動負債
つまり、流動比率は「1年以内に返済しなければならない借金に対して、1年以内に換金できる資産(現金を含む)がどのくらいあるのか」という指標です。
すなわち流動比率は、会社の支払い能力を表しているのです。
なお一般的には120%以上が望ましいとされています。
なぜ流動比率が重要かというと、保有資産に占める自己資本比率が高くても、資産のうちすぐに換金できる流動資産がなければ、すぐに返さなくてはいけない流動負債の返済に回すことができず返済が出来ないからです。
このように貸借対照表は返済能力など、会社の安定性を表しています。
参考として、過去に倒産した大企業の倒産直前の貸借対照表を紐解いてみるのも、勉強になるかもしれません。
就活生のための会計知識その3: 物の値段はどう決まる? – キャリまが
- 作者: 山田真哉,久織ちまき/和泉つばす
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2009/10/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 7人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2007/10/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 10人 クリック: 106回
- この商品を含むブログ (124件) を見る