こんにちは。キャリまが管理人の国際経理の中の人(@baticwords_bot)です。
最近ツイッター経由でこんな質問を受けました。
経理への転職を考えていますが、将来性が不安です。
AIによる自動化で、この先経理が無くなるということはないのでしょうか?
確かに会計士や税理士を含め、経理は将来性AIに置き換えられる仕事の筆頭として語られることが多いですよね。
というわけで、現役経理社員として働く立場から、「経理はなくなる」という説について思うところと、生き残るための方法を書いてみたいと思います。
本当に経理はなくなるのか?
将来なくなる仕事の筆頭として語られることの多い経理職。
BBCの記事によれば、70の職業について将来AIに置き換えられる確率を調査したオックスフォード大学とデロイトの調査では、会計関連職は軒並み上位にランクインしています。
↑このように公認会計士は95%の確率で自動化されるとされています。
さらに、ざっと会計関連職を見てみると、
- Book-keepers, payroll managers and wages clerks 97%
- Financial accounts managers 98%
- Taxation experts 98%
と、もはや会計関連職は、公認会計士などの専門職も含め大部分が自動化されると予想されています。
最近のRPAの普及による自動化の流れを見ていると、この予想は決して悲観的なものではないと僕は思います。
なお、こちらのURLから自分の職業が将来どのくらいの確率でAIに置き換えられるかをチェックすることができます↓
関連:Will a robot take your job?
「経理」という仕事は無くならないけど、人は激減する
さて、それでは経理の仕事は将来本当に無くなってしまうんでしょうか。
結論から言うと、「無くなりはしないけど、人は激減する」と言うのが僕の考えです。
経理という仕事が無くなるということはあり得ないでしょう。
なぜなら、この世にビジネス活動が存在する以上、何らかの方法でそれを正しく記録する必要があるからです。
毎日のビジネス活動を記録する「仕訳」の積み重ねが企業の成績表である財務諸表になります。
それを元に国に収める税金の額が決まり、またそれを元に株価が判断され売買されます。
税金も株の流通も国の経済の根幹をなす部分ですか、その元となる経理という仕事が無くなることはあり得ません。
何らかの方法で記録する必要があるのです。
しかし、別にそれを人間がやる必要はありません。
最近のトレンドとしては、仕訳はどんどん自動化されています。
銀行の決済データを元にわざわざ会計ソフトに仕訳を打ち込んでいたような作業も、最近では支払先や摘要から判断して自動で仕訳が起きるシステムも出てきました。
個人向けの家計簿アプリなんかでも、クレジットカードの利用歴から自動で科目を選択して記録してくれる機能がありますよね?
最近では紙の請求書を画像認識して自動で正しい仕訳を作るシステムなんてものまであります。
つまり、これから「仕訳を切る」という作業をやる人間はほとんど必要なくなるのです。
「自動化ソフトとか画像認識ってw、ぜんぜん精度低いじゃん」と思っている人は、それは楽観しすぎです。技術は加速度的に進歩します。
もちろん、無限に生まれてくる新しい形態の取引を全て定型化することはできませんから、その都度正しい処理を判断するための会計知識を有したごく一部の人間だけ経理職として残ることになるでしょう。
同じ理由で、記帳代行を主な売上としているような会計事務所も淘汰されていくことが予想されます。
経理人材がこのさき生き残るためには →「管理会計」を極める
そうなると、「仕訳が切れます」というレベルの経理社員はAIに置き換えられてしまうでしょう。
では、経理人材がこの先、生き残るためにはどうしたら良いのでしょうか。
それは単なる過去の記録である仕訳にとどまらず、未来を描けるスキルを身に付けることです。
記録するだけなら、早いしミスもしないので AIの方が絶対に優秀です。
そうではなく、過去の記録の中から、
- それが起こった原因を見つけ出し
- 課題を改善するためのプランを作る
↑これが出来る人が、これから生き残る人材となります。
売上が上がった・下がったということは結果を見れば一目でわかります。
しかし「なぜその結果になったのか」ということは、売上の数字だけを見ていてもわかりませんよね?
- 客数が増えたのか
- 全体的に購入単価が上がったのか
- 特定の商品が爆発的に売れたのか
- それらの原因は何なのか
こういったことは、あらゆる指標を参照し、比較してみないと正しい原因を特定できません。
そして正しい原因が特定できないと、適切な次の打ち手を打つことが出来ません。
問題点を改善する・伸びている部分をさらに伸ばすためには、「何をすれば結果に結びつくのか」という指標を正しく把握する必要があります。
その指標をKPI(Key Performance Indicator)といいますが、原因を見誤っているとKPIを正しく設定できないわけです。
KPIが間違っていると、見当違いの方向に向かってリソースを投入することになってしまいますので、企業にとってこれは非常に重要なポイントとなります。
これって、要するに管理会計なんですよね。
税務などの「制度に則るための会計」をいくらやっても利益には結びつきません。
いっぽう管理会計は「意思決定のための会計」と呼ばれており、文字通り経営者が次の打ち手を探るための会計なのです。KPIの設定などはまさしくこれです。
余談ですが、自分もブログで毎月わずかながらの収益をあげながら、記事ごとのPVや広告案件の発生数、所得税の概算などを計算しています。
しかしこれらの数字を拾ってきて集計することは単なる「作業」です。どれだけ時間をかけても、その作業自体がお金を生むことはありません。
重要なのは、それらの数字から何を読み取り、次に何をするかです。
つまり経営者からしたら、単なる集計はAIに任せて、そこから次の打ち手に必要な指標を示してくれる人材こそが必要というわけです。
ちなみに、「指標を示すことも自動化できるんじゃないの?」と思われるかも知れませんね。
確かに、出来上がった指標どおりの数字を集計して示すことはAIにも可能です。
しかし、「指標=KPI」自体は目の付けどころ次第で無数にあるのです。
人間の生活様式や行動はどんどん変化していくので、すべてを定型化することは不可能です。
集計自体はAIがやった方が早くても、その集計方法・指標=KPIを、工夫やクリエティビティを活かして考え出すのは人間の仕事としてこれからも残り続けていくでしょう。
おすすめスキル|管理会計の国際資格「USCMA(米国公認管理会計士)」
さてそれでは経理人材がこの先、管理会計のスキルを伸ばしてそれを証明するにはどうしたら良いのでしょう。
制度会計なら簿記や税理士といった資格がありますが、実は管理会計にも資格があります。
このブログでは管理会計のおすすめ資格として「USCMA(米国公認管理会計士)」を紹介しています。
USCMAはその名の通り米国の国家資格ですが、国際的にも認知されており、世界中に6万人以上の登録者がいます。
2つの科目からなる試験で、
- 予算の計画、編成
- 業績管理
- 意思決定分析
- リスクマネジメント
- 投資意思決定
など、未来志向の論点について学ぶことができます。
国際的に認知された資格でありながら、同じ米国の公認会計士であるUSCPAと比べると費用も格段に安く、また難易度も低いため、リーズナブルな資格としてもオススメです。
監査法人での実務経験がないとライセンスが取れない(名刺に書けない)CPAに対し、CMAは4年制大卒の資格と一般的な経理の(およびそれに準ずる)実務経験だけで登録できるというメリットもあります。
CMAについて、もっとよく知りたいという方は、↓の記事でも詳しく書いておりますので、ぜひ参考にしてみてください(受験費用が1万円以上割引になる特典付きです!)
あわせて読みたい:【特典付き!】管理会計の国際資格「USCMA(米国公認管理会計士)」とは?USCPと両方持ってる同僚にその違いを聞いてみた
https://www.careernomagarikado.com/entry/2018/08/05/USCMA
まとめ|日本は管理会計後進国
今回紹介したUSCMAですが、全世界には6万人以上の登録者がいるのに対し、日本人の登録者はなんと250人足らずなのです。
これはまさしく、日本人がまだまだ管理会計の重要性が浸透していないという事の表れだと言えます。
つまりそんな中で管理会計のスキルを身に付けることができれば、またそれを適切にアピールすることが出来れば、AIに替えの効かない人材だと経営者から認められることになるでしょう。
なお最近読んだ本で、AIの進歩やグローバル化の影響によってこれから消える仕事・残る仕事について書いた本がとても面白かったのでオススメです↓
いわゆる経理職のほか、会計士や税理士、コンサルタント業についても、とても理論的に考察されていますので、興味のある人はぜひ読んでみてください。
というわけで、国際経理の中の人(@baticwords_bot)でした。
次に読む:【特典付き!】管理会計の国際資格「USCMA(米国公認管理会計士)」とは?USCPと両方持ってる同僚にその違いを聞いてみた